Jリーグクラブの収益は?

Jリーグクラブはどのように収益を上げているのでしょうか?

一番の収益はサポーターの入場料収入でも、物販収入でもなかった!?

そんなクラブの収益について説明していきます。

クラブの収益構造

クラブの収益はスタジアムやユニフォームなどに広告を出すスポンサーやユニフォームなどのグッズを購入するサポーター、試合のためにスタジアムで観戦する観戦料などがあります。それ以外にも収益があるので一覧にしてみました。
  • Jリーグクラブの主な収益
    • スポンサー収入(ユニフォームへの広告、スタジアムへの広告掲載など)
    • 物販収益(グッズ販売)
    • スタジアム観戦料(入場料)
    • Jリーグからの配分金
    • DAZNからの配分金
    • クラブ運営収益(アカデミー収益)
    • 移籍金
細かくは他にも収益はありますが、主な収益は一覧の通りです。

他にも、好成績を収めたクラブに支払われる賞金などが収益となります。

クラブの一番の売り上げはスポンサー収入

いきなり結論から言いますと、

ほぼすべての(ごく少数のクラブを除く)Jリーグクラブの一番の収益は、スポンサー収入となっています。

毎年Jリーグが公表しているクラブ毎の損益計算書を見ても、

J1からJ3のクラブのうち1クラブ以外はスポンサー収入が一番の収益となっています。

スポンサー収益とは

ではクラブにとって一番の収入源となっているスポンサー収入とはどういったものかについて触れていきましょう。

スポンサー収入とは、クラブのスポンサーとなった企業がクラブに支払うことで得られる収入のことです。

代わりに、スポンサーとなった企業はスタジアムに広告を出すなどにより

知名度の向上や企業イメージの向上などといった恩恵を得ることができます。

例えば試合用ユニフォームや練習着、試合会場でピッチの周りの壁や三角形の形をした横長の社名や商品名を書いている広告などはスポンサーになっている企業がクラブに広告費として支払っている場合に表示されているものです。

スポンサー収入は協賛企業の広告であるということを説明しましたが、実際にどのようなものがあるのか代表的なものをリストアップしてみます。
  • Jリーグ試合時にスタジアムに設置される広告
    • 試合開催時に観客席とピッチの間の壁や観客席の上方に掲載される広告などがあります。このような広告をスタジアム広告と呼びますが、様々な広告がある中でもテレビ中継やDAZNなどスタジアム来場者以外にも映像を通しての広告効果が高いため、高額に設定されていることがほとんどです。その分クラブの収益にもなっています。

      また、陸上競技場との兼業スタジアムで見られるようなピッチと観客席との間にある三角形をした横長のオブジェクトや陸上競技場に広げられた幕(これらを総称してフィールド広告と呼ぶ)に社名や商品名などを目に付くように配置しているものもよくある広告だといえます。ゴールを決めた選手がサポーターに駆けつけるときによくジャンプして飛び越えるシーンなども見かけますね。
      位置にもよりますが、このような広告は映像コンテンツへの映り込み頻度も壁広告に対して高くないため、広告料も若干安く設定されていることが多いです。その分、企業側も広告を出しやすいため多くのスポンサーが出資できるというメリットもあります。
  • ユニフォームに記載される社名や商品名などの広告
    • ユニフォームのシャツやパンツに社名や商品名を載せる広告です。
      試合時には選手はユニフォームを必ず着用するため、宣伝効果は非常に高いです。
      特に試合用ユニフォームの胸に広告を出している企業はクラブを支援している代表的な企業とも言え、高いスポンサー料をクラブに支払ってい入るものの、ホームサポーターだけでなくアウェイサポーターやその他のサポーターの目に入り、サッカーを支援している代表的な企業ということで宣伝効果だけでなく、企業としての印象もプラスの効果が生まれているのが実態だといえるでしょう。
  • 練習着などに記載される社名や商品名などの広告
    • ユニフォームと同じく練習着にも社名や商品名の広告を載せています。
      目に入るのは主にホームサポーターで、試合前の練習などでも練習着を見ることはできますが、クラブを支える縁の下の力持ち企業として好感度が高いです。
  • マッチデープログラムに記載される広告
    • スタジアムで配られるマッチデープログラムにも企業名や商品名の入った広告が入っています。
      来場者には無料で配布されますが、そこにもスポンサーから広告料が支払われています。

スポンサー収入以外のクラブの主な収入源

クラブの収入源として大きなものはスポンサー収入になるのですが、

クラブ運営はそのほかの多くの収入で成り立っています。

例えばこのような収入です。
  • 入場料収入
  • Jリーグ配分金
  • アカデミー関連収入
  • 物販収入
  • その他収入

クラブの収入の内訳

クラブの収益について個別に見ていきます。

入場料収入

入場料収入はそのまま観戦チケットの売り上げのことになります。

また、シーズンチケットやハーフシーズンチケットの売り上げも入場料収入となります。

入場料収入の額は大きく、クラブの収益としては、スポンサー収入やJリーグ分配金を除いては

収益の軸ともなっています。

所属するカテゴリやクラブの成績などによって、シーズンによっては露骨に観客の増減が出るので

収益を上げるうえでも、クラブも必死になりますね。

Jリーグ配分金

Jリーグ配分金は、細かく分けることができますが、ザックリと話をすると

クラブが所属するカテゴリごとに額が決まっているカテゴリ別の均等配分金、

カテゴリから降格した際に翌年、(昇格できなかった場合)翌翌年まで受け取ることができる降格救済金、

ACL(アジアチャンピオンズリーグ)に出場したクラブに割り当てられるACLサポート配分金、

リーグ戦や天皇杯やルヴァンカップなどの大会の成績に応じた賞金、

そしてファン指標配分金などがあります。

均等配分金

均等配分金は、所属するリーグ(カテゴリ)ごとに定額がJリーグからクラブに配分されます。

所属するカテゴリが同じであれば、どのクラブも平等なもので、一律

J1は3.5億円、J2は1.5億円、J3は3000万円が配分金として支給されます。

これは2022シーズンまでの金額で、2023シーズンはコロナウイルスの感染蔓延予防による2020-2022の入場制限による収益減少により配分金は減少しています。

J1:2.5億円、J2:1.0億円、J3:2000万円となっています。

J1クラブの国際競争率を上げるため、2024シーズン以降はJ1の配分金が段階的に元の3.5億円以上になることが予想されますが、J2以下はこのまま配分金を引き下げたままの状態が続きそうです。

降格救済金

2024シーズンからこちらの救済金は廃止となりました。

降格救済金は、J1からJ2、J2からJ3に降格した翌年、翌々年にJリーグから配分される救済金です。

救済金は、J2降格1年目は1.3億円、2年目は0.6億円、3年目からは0円、

J3降格1年目は0.9億円、2年目は0.6億円、3年目からは0円が支給されるようになっています。

要は、カテゴリごとの均等配分金に大きな差があるため、

降格時にクラブの運営が立ち行かなくなったり、選手の放出を無理に強いられるような状況を避けるための

激変緩和措置のようなものです。

降格2年目までに元のカテゴリに戻らなければ、J2やJ3の沼にはまるといわれるのは

この降格救済金が降格3年目から支払われなくなるというのも1つの大きな要素となっているのかもしれません。

ちなみに、均等配分金と降格救済金を合わせた時にクラブに配分される年間の総額は下記のとおりとなっていました。
カテゴリ通常
(もしくは降格
3年目以降)
降格1年目降格2年目
J12.5億円
J21.0.億円2.8億円2.1億円
J30.2億円1.2億円0.9億円
ただし、こちらの降格救済金についても2023シーズンを最後に運用終了しています。

2024シーズンからは上のカテゴリから降格しても資金面でのアドバンテージはなくなり、フラットな状態で他のクラブと昇格を争うこととなっています。

ACLサポート配分金

ACL出場クラブは遠征などに費用が掛かり、手元の資金だけでやりくりするのはクラブに大きな負担となるため、

Jリーグから1億円が配分されます。

賞金

各カテゴリのリーグ戦で上位入賞したクラブにはJリーグから賞金が配分されます。

その他には年間でファールが少なかったクラブに対して、フェアプレー賞などでも賞金が配分されます。

リーグ戦上位に配分される賞金は下記の額となっています。
カテゴリ優勝準優勝3位
J13億円1.2億円0.6億円
J22,000万円1,000万円500万円
J3500万円250万円0円

ファン指標配分金

ファン指標配分金は、2020年シーズンの実績をもとに2021年から導入された比較的新しい制度で、

各クラブ別に「ホームゲームにおける来場者数」や「DAZNなどのライブ配信による視聴実績」から

配分金を割り当てるといったものです。

詳しい内訳などは公表されていないため、

「視聴実績」が視聴時間なのか視聴数なのかは不明ですが、

人気のあるクラブに配分金が多く支払われるということは間違いなさそうです。

アカデミー関連収入

アカデミー関連収入は、簡単に言えばクラブが運営するサッカースクールからの収益です。

入会費や月謝、アカデミーのユニフォームなどの売り上げなどが該当します。

クラブの収益になっているだけでなく、

未来のJリーガーや世界で活躍するサッカー選手を育成するために

アカデミーは必要なものですね。

クラブの収益にもなって、サッカー選手も育成できてSDGsにもマッチしています。

クラブによっては、入場料収入よりアカデミー関連収入が上回っているクラブもあります。

案外大きなクラブでも、アカデミーに力を入れていて入場料収入よりクラブの収入になっていることもあります。

物販収入

物販収入については、クラブが販売するユニフォームやタオルマフラーなどのグッズの売上金のことを指します。

物販収入として計上されるものは、いわゆる物理的なモノの売り上げだけでなく、有料クラブ会員などの年会費なども物販収入にあたります。

移籍金

クラブに在籍している選手は、クラブと一定期間在籍という形で契約をしています。

選手がその契約を打ち切って他クラブへ移籍する場合、移籍先のクラブから移籍元のクラブに支払われるのが移籍金です。

意味合いとしては、移籍先のクラブが契約の残っている選手や移籍元のクラブと交渉して魅力的な条件(高額な年俸や上位カテゴリでの出場機会)を出すことで、選手を引き抜く代わりに支払われる違約金という表現が近いかもしれません。

また、移籍金には連帯貢献金というものも含まれます。

連帯貢献金は選手がアカデミー含めた12歳から23歳まで選手がクラブに在籍していた場合、以降でも他のクラブ間で選手に対して移籍金が発生した場合にそのごく一部を受け取ることができる仕組みです。
Jリーグクラブ間の移籍では発生しませんが、選手が海外移籍した際にはこの連帯貢献金が発生します。言い方を変えれば、素晴らしい選手を育成したクラブへのご褒美のようなものかもしれません。

その他収入

上記に該当しないもので得られた収入がその他収入に該当します。

クラブにより中身の差異もあり、詳細は公表されていません。