Jリーグを取り巻く環境は年々変化の一途をたどっていますが、
2024シーズンは数年に一度の激動のシーズンだといえる変化が目白押しです。
リーグの仕組みやDAZN放映の変化にも触れながら、紹介していきたいと思います。
目次
カテゴリ毎のクラブ数が変わる
2024シーズンはJリーグに所属するJ1からJ3までの合計クラブ数は60から変わりません。 ただし、各リーグのクラブ数が2023シーズンから以下のように変化します。
カテゴリ | 2023シーズンのクラブ数→2024シーズンのクラブ数 | 2023シーズンの昇格・降格 |
---|---|---|
J1 | 18クラブ→20クラブ(3増1減) | J2への降格クラブ数:1 |
J2 | 22クラブ→20クラブ(3増5減) | J1への昇格クラブ数:3 J3への降格クラブ数:2 |
J3 | 20クラブ→20クラブ(2増2減) ※本来JFL1位とJ3最下位が入れ替え対象だが、 JFL1位クラブがJ3ライセンス未保有のため 2023シーズンはJ3最下位クラブとの入れ替え無し | J2への昇格クラブ数:2 ※JFLへの降格クラブ数:1 |
上記の通り、J1からJ3のすべてのカテゴリでクラブ数が20クラブで統一されます。
クラブ数が変わる理由について
なぜ2024シーズンからJリーグのカテゴリ再編が行われるのかについてはJリーグから公式に発表がされています。 発表されている中では、クラブ数が変わる理由についてはJリーグが新たな成長戦略として述べられています。その中でも、成長戦略のテーマとして2つの狙いが説明されています。
2024シーズンにJリーグのカテゴリ毎のクラブ数が変わることの狙い(成長戦略)
①60クラブが、それぞれの地域で輝く
②トップ層が、ナショナル(グローバル)コンテンツとして輝く
②トップ層が、ナショナル(グローバル)コンテンツとして輝く
②でトップ層と表現されているのは、J1のことを指しています。 J1が日本のプロサッカーとして国際的にもレベルの高いリーグとしての価値を持っていることをアピールする狙いがあると考えられます。 2023シーズンからJリーグ配分金(カテゴリごとに所属しているクラブにJリーグから均等に配分される資金)が見直しされ、将来的にJ1クラブへの配分金が段階的に増額されることを見てもJ1の価値向上に対するサッカー協会の強い意志を感じます。 また、詳しくは後述しますが①のそれぞれの地域で輝くことについてはリーグ戦の他にルヴァンカップへのJ2,J3クラブの参加資格解禁などといったことが狙いだといえそうです。
昇格・降格の仕組みが変わる
これまでもJリーグカテゴリ間の昇格・降格の仕組みは何度か変わってきましたが、2024シーズンは大きな変化が起こります。
2024シーズンの昇格・降格の仕組み
・J1⇔J2間の入れ替えは3枠(J1:18-20位は自動降格。J2:1,2位は自動昇格。3-6位は昇格プレーオフ。)
・J2⇔J3間の入れ替えは3枠(J2:18-20位は自動降格。J3:1,2位は自動昇格。3-6位は昇格プレーオフ。)
・J3⇔JFL間の入れ替えは1.5枠(J3:20位は自動降格。JFL:1位は自動昇格。 J3の19位とJFLの2位でJ3参入プレーオフ。)
・J2⇔J3間の入れ替えは3枠(J2:18-20位は自動降格。J3:1,2位は自動昇格。3-6位は昇格プレーオフ。)
・J3⇔JFL間の入れ替えは1.5枠(J3:20位は自動降格。JFL:1位は自動昇格。 J3の19位とJFLの2位でJ3参入プレーオフ。)
J1から3クラブが自動降格し、J2の1位、2位が自動昇格、3位から6位のクラブがJ1昇格プレーオフで残りのJ1への1枠を争うという仕組みは2023シーズンとは変更ありません。 一方で、J2、J3、JFLの間では昇格、降格の仕組みが大きく変わります。
J2⇔J3間の昇格・降格のルール変更
2023シーズンまでは、J2からJ3への自動降格はJ2下位2クラブ、J3からJ2への自動昇格もJ3上位2クラブという仕組みで運用されていました。 2024シーズンからは、J2からJ3への自動降格がシーズン18-20位の3クラブに増えます。さらに、J3からJ2への昇格も3クラブに増えますが、そのうちJ2に自動昇格できるのはJ3シーズン1位、2位で終えた2クラブで、残りの1枠をJ2昇格プレーオフという形でJ3で3位から6位のクラブがリーグ戦終了後に争われるようになります。 昇格プレーオフはJ1昇格プレーオフでこれまでJ2クラブの中でかなりの盛り上がりを見せていましたが、J3にも同様の仕組みが初めて導入されることとなり、リーグ戦終了後の争いも目が離せなくなることは間違いありません。
J3⇔JFL間の昇格・降格のルール変更
前シーズンでJFLで上位の成績を残した奈良クラブとFC大阪がJ3に参入したことで、2023シーズンからJ3も20クラブ制となり、Jリーグ全体でも60クラブで運用されることとなりました。 60クラブはJリーグの上限として今後も運用されていくことが発表されており、当面はこの数字は変わらないと思われます。 2024シーズンからではなく、2023シーズンからのルールではありますが、 2023シーズンからJ3の20位のクラブとJFL1位のクラブの自動入れ替え及び、J3の19位のクラブとJFLの2位のクラブは参入プレーオフで争うこととなっています。 JFL1位のクラブがJ3のライセンスを持っていない場合は、J3で19位のクラブの残留が確定し、J3で20位のクラブとJFL2位のクラブで参入プレーオフが行われます。 JFL1位、2位のクラブがともにJ3のライセンスを持っていない場合は、J3で19位、20位のクラブ共にJ3の残留が確定します。
DAZN放映の仕組みが変わる
DAZNは2023年2月にDAZN StandardとDAZN Grobalの2つのプランが新設され、価格も大幅に引き上げられるなどこれまでのユーザ獲得期から、投資費用の回収期に入りました。 また、DAZNの放映権も2028年までから2033年までに延長されるなど、サポーターにとってうれしいニュースも発表されています。 そのような中で、2024シーズンは価格は据え置きとなるものの、Jリーグの視聴において大きな方針変換が適用されることとなりました。
2024年DAZNのJリーグ放映変更
・J3のDAZN放映廃止
DAZN放映の大きな変更点として、J3の試合配信がなくなるということです。 Jリーグからの発表ではDAZNでの配信がされなくなるという意味で、J3の試合は地上波放送などの無料配信でみられるなど100%リーグ戦を放送することは保証するといった内容なので全く見られないということはないようです。 ただし、放送されるのはホームゲームの放送権を持ってるテレビ局のみだと思われ、アウェイゲームやホームゲームでも別の地域に在住のサポーターなどであれば配信がない可能性があります。
新スタジアムのオープンについて
2024シーズンにも新スタジアムのオープンが予定されています。
2024年の新スタジアム動向
・2月オープン:エディオンピースウイング広島【略称:Eピース】(サンフレッチェ広島)
・2月オープン:金沢ゴーゴーカレースタジアム【略称:ゴースタ】(ツエーゲン金沢)
・秋オープン:ピーススタジアムコネクテッドバイソフトバンク【略称:ピースタ】(V・ファーレン長崎)
・2月オープン:金沢ゴーゴーカレースタジアム【略称:ゴースタ】(ツエーゲン金沢)
・秋オープン:ピーススタジアムコネクテッドバイソフトバンク【略称:ピースタ】(V・ファーレン長崎)
2024シーズンから使用される予定のスタジアムは3スタジアムあります。
エディオンピースウイング広島(サンフレッチェ広島)
1つ目がエディオンピースウイング広島です。 Jリーグが開催されてからおよそ30年間サンフレッチェ広島のホームスタジアムとして使用されてきたエディオンスタジアム広島(通称ビッグアーチ)から移転されることが決定しています。 広島サポーターだけでなく、多くのサポーターから愛されたビッグアーチですが、老朽化や広島駅や広島市内の観光拠点からも離れているなど課題を持っていました。 新スタジアムでは広島駅から路面電車でアクセス可能であったり、観光拠点の広島城や平和記念公園もすぐそばにあり、これまで以上に集客が見込めます。また、およそ30000人収容のスタジアムは観客席最前列からピッチまでの距離が8mなど臨場感満載なサッカー観戦が楽しめます。
金沢ゴーゴーカレースタジアム(ツエーゲン金沢)
2つ目が金沢ゴーゴーカレースタジアムです。 新スタジアムは2023年までホームスタジアムのある石川県西部緑地公園とは離れた位置に建設され、北陸では唯一の球技専用スタジアムという点についても注目ポイントになっています。 収容は10000人程度で、現時点で見る限りビジターゴール裏席には屋根がなく(他の座席は屋根あり)座席数もホーム側と比較しても極端に少ないように見受けられます。金沢駅からスタジアムまでは3km弱の距離があるため、シャトルバス等が運行されるのではないかと思われます。
ピーススタジアムコネクテッドバイソフトバンク(V・ファーレン長崎)
3つ目がピーススタジアムコネクテッドバイソフトバンクです。 とにかくスタジアム名が長いです。呼称としてはピースタが使用されるようです。 このスタジアムの特徴は、球技専用スタジアムというだけでなく、複合商業施設やホテル、アリーナやオフィスなどが併設され、長崎スタジアムシティプロジェクトとして試合観戦以外にも買い物や観光などいろいろなことができてしまう市や民間企業を上げてのビッグプロジェクトであることがあげられます。 長崎駅からも徒歩圏内で、西九州新幹線が開通したこともあり交通の利便性も非常に良いといえるでしょう。 スタジアムは全席屋根がついており、20000人程度が収容可能となっています。 現状では、2024年秋からスタジアムが開業するようですが、2024シーズン中に使用されるかについては現時点ではわかりません。
ルヴァンカップの参加資格について
2024シーズンで変わるのはリーグ戦のカテゴリごとのクラブ数や、昇格降格の仕組みだけではありません。 ルヴァンカップも2024年から大きく仕組みが変わります。
ルヴァンカップの仕組み変更
・J1,J2,J3のいずれかに所属しているクラブに参加資格が与えられる
・ノックアウトステージのみ採用される
・ノックアウトステージのみ採用される
ルヴァンカップへの参加条件はJ1参入プレーオフが導入された2018シーズン以降はJ1の18クラブと前年度のリーグ戦でJ2に降格した2クラブの20クラブで争われるのが慣例でした。(新型コロナウイルス特例措置を除く) 2024シーズンからは、J1からJ3に所属する全60クラブに参加資格が与えられます。 さらに、対戦方法の変更も施行されます。 これまでは最初に20クラブによるホーム&アウェイの総当たり戦を行い、そこで勝ち上がったクラブによるノックアウトステージに進むといった形式でしたが、 2024シーズンは初めからノックアウトステージで開催されます。
新エンブレム&新クラブ名
2024年から2つのクラブでエンブレムやクラブ名の改称が行われます。
- FC東京
- 新エンブレムの採用
- FC琉球
- クラブ名改称、新ロゴ採用、新シンボルマーク採用
FC東京については新エンブレムが採用されます。旧ロゴと比較してもシンプルになっているのが特徴です。 また、エンブレムの文字も「F.C.TOKYO」からドットを抜いた「FC TOKYO」に変更されています。これは、日本語表記のクラブ名にはドットが使われておらず、英語側の表記を統一するためだと発表されています。 FC琉球は2024シーズンから「FC琉球OKINAWA」に改称されます。呼称はこれまで通り「FC琉球」が使用されます。ロゴについても変更されます。 沖縄の伝統的な守り神であるシーサー2体がサッカーボールを挟むエンブレムをシーサー1対を正面から見たようなシンプルなものに変更されるという発表がされました。 しかし、エンブレムの変更に対しては批判も多く、2024シーズンでの変更は見送られることとなりました。現状では2025年からは新エンブレムに切り替わる予定となっています。一方で、シンボルマークは2024シーズンから採用されるなど、旧エンブレムと新シンボルマークが混在する珍しいシーズンとなることになりました。
2025年以降の変更予定の紹介
2024年内ではありませんが、2025年以降に予定されているトピックについて軽く紹介したいと思います。
- 2026年(未定):秋春制
- 2023-24シーズンからACLで導入された秋春制。Jリーグでも2026年からの導入という報道がありましたが、開催期間に冬場を挟むこともあり主に積雪地帯をホームとするクラブから反対が出ています。国際的に採用されている秋春制ですが、国際基準に合わせるか、国内のリーグの運営を優先するか今後どうなるか注目です。
- 2027年(未定):新スタジアム(モンテディオ山形)
最後に
これまでの紹介を振り返ってみます。 2024シーズンは、Jリーグ60クラブがJ1からJ3まで各20クラブで運用される元年となります。そういう意味では、Jリーグの新たな歴史の一歩目を踏み出す大事なシーズンになりそうです。 また、ルヴァンカップに全Jリーグ所属クラブが参加するようになる大きな変化も2024年から施行され、リーグ戦、カップ戦共に話題に堪えない年になるといえます。 そして、2017シーズンからJリーグの放映を開始したDAZNからJ3リーグの放映が消えます。ホームやアウェイの試合に寄らずどこでも試合観戦できるという大きなメリットを失うことはサポーターにとっては週末の楽しみや生きがいを損なう一大事だといえそうです。 Jリーグにとって大改革ともいえるような1年になりそうな2024年。 実際にどうなるか、ワクワクドキドキすることは間違いなさそうです。
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