【J1】ラストスパートJ1残留ラインは

Jリーグシーズン終盤になってくると、

J1上位ではACL出場権の獲得やシーズン優勝を獲得を目指す熾烈な争いが熱を帯びる一方、

J1下位では来シーズンもJ1で戦うための激しい残留争いが繰り広げられます。

残留争いも盛り上がるものの、クラブサポーターとしてはJ2降格は何が何でも避けたいものですよね。

そんな残留争いに関する必要な勝ち点など残留ラインについて過去の実態から解説していきます。

J1クラブのJ2降格の仕組み

J1クラブがJ2への降格という仕組みは、1998シーズンから導入されました。

そもそもJ1という呼称はJリーグ発足当初の1993年には存在せず、
J1と呼ばれるようになったのは、J2リーグが始動した1999シーズンからです。

J2への降格が1998年にはあったものの、J2発足が1999年からと1年のずれがあるのは、

あらかじめJ2発足が決まっており、J2発足前にJ1からの降格が計画されていたからとなっています。

初めてJ2降格を経験したクラブは、1998年のJリーグで勝ち点で最下位となったコンサドーレ札幌となりました。

また、Jリーグの上位リーグであるJ1と下位リーグであるJ2の入れ替えという運用が始まったのは、1999シーズンからとなります。

J2降格の仕組みの変遷

シーズンを通した成績でJ1の下位の成績となったクラブとJ2の上位の成績を収めたクラブが入れ替えとなるのは1999年から(一部年度を除いて)継続的に行われるようになりました。

J2降格の仕組みについての歴史を振り返ってみます。

入れ替えではありませんが、J2ができる前の前年度(1998年)にJ1からJ2へ翌シーズンの降格も行われましたのでそこについても触れていきたいと思います。
シーズン(年度)降格クラブ数
※()外は自動降格
 ()内イベント参加数
イベント名
※自動降格以外
備考
19980(+1)J1参入決定戦確定で1クラブ降格
1999-20032(0)
20040(+1)J1・J2入れ替え戦J2クラブに勝利すればJ1残留
2005-20082(+1)J1・J2入れ替え戦J2クラブに勝利すればJ1残留
2009-20173
2018-20192(+1)J1参入プレーオフJ2クラブに勝利すればJ1残留
20200コロナ特例
20214コロナ特例
20222(+1)J1参入プレーオフJ2クラブに勝利すればJ1残留
20231確定で1クラブ降格
※J2は3クラブ昇格
J1の歴史を振り返っていくと、自動降格クラブ数の変化もありますが

近年ではJ1参入プレーオフが実施されるようになり、シーズン後も盛り上げる要素となっています。

また、2023年にはJ2昇格プレーオフが復活するなどJ2側はJ1への昇格枠が確定で増えたことでより熾烈な争いが繰り広げられることになります。

J1で降格圏から脱出するためのシーズン終盤の争いが激しくなるのはもちろんですが、

プレーオフでシーズン終盤の盛り上がりを見せているのはJ2で顕著に表れていますね。

J2のシーズン終盤のプレーオフ参入に向けた激しい争いは過去に記事にしていますので、よかったらこちらも併せてご覧ください。

2005年以降のJ1シーズン下位クラブ

Jリーグのシステムは開幕以降、過去に数度のシステム変更が行われてきました。

今の勝ち点システムに変わったのは2003シーズン以降となっており、今のJ1クラブ数18クラブでの運用が安定してきた2005シーズン以降となっています。

今回は2005シーズン以降のJ1降格ラインについて見ていきます。

2005-2008:J1・J2入れ替え戦

2005から2008シーズンはシーズン終了後にJ1・J2入れ替え戦が実施されました。

シーズン通しての順位が17位、18位のクラブは自動降格となっていて、16位のクラブはJ2で3位となったクラブとの入れ替え戦に参加することとなりました。

入れ替え戦はホーム&アウェイ方式でそれぞれのホームで1試合ずつ行われ、
一部の年度を除いて優先順従ってあらかじめ決められたルール上で勝利したクラブがJ1昇格もしくは残留となります。

ルールとしては、2試合が終了した時点で、上から順に昇格・残留を争うどちらかのクラブが満たした時点で勝敗が決するようになっています。

①が引き分けだった場合は②のルールを適用、さらに②が引き分けだった場合は③のルールを適用という塩梅となっています。

①合計得点が多く取ったクラブ
②アウェイゴールが多いクラブ
③延長戦
④PK戦

下位のクラブを見ていくと下記のような形となっています。

赤文字は自動降格したクラブ、オレンジはJ2との入れ替え戦で敗れてJ2へ降格したクラブ、緑文字は入れ替え戦でJ2に勝利して残留したクラブとなります。
シーズン15位(残留)16位(入替戦)17位(自動降格)18位(自動降格)
2005清水(39)柏(35)東京V(30)神戸(21)
2006甲府(42)福岡(27)C大阪(27)京都(22)
2007大宮(35)広島(32)甲府(27)横浜FC(16)
2008千葉(38)磐田(37)東京V(37)札幌(18)

2009-2017:プレーオフなし

2009年から2017年はプレーオフは開催されませんでした。

J1のシーズン下位3クラブが自動昇格となり、J2のクラブと入れ替えとなりました。
シーズン15位(残留)16位(自動降格)17位(自動降格)18位(自動降格)
2009山形(39)柏(34)大分(30)千葉(27)
2010神戸(38)FC東京(36)京都(19)湘南(16)
2011浦和(36)甲府(33)福岡(22)山形(21)
2012新潟(40)神戸(39)G大阪(38)札幌(14)
2013甲府(37)湘南(25)磐田(23)大分(14)
2014清水(36)大宮(35)C大阪(31)徳島(14)
2015新潟(34)松本(28)清水(25)山形(24)
2016新潟(30)名古屋(30)湘南(27)福岡(19)
2017広島(33)甲府(32)新潟(28)大宮(25)

2018-2019:J1参入プレーオフ

2018年、2019年はシーズン終了後にJ1参入プレーオフが開催されました。

例のごとくJ1でのシーズン17位、18位のクラブはJ2への自動降格となりましたが、

16位のクラブは、J2での3位から6位のクラブでトーナメントを行い、その中を勝ち抜いたクラブと

プレーオフの決勝戦という位置づけで試合が行われました。

プレーオフ決勝戦はJ1で16位のクラブのホームで行われ、延長戦・PK戦なしの90分で決着がつけられました。

J1で16位のクラブが勝つか引き分けることができれば、J1残留。逆に負ければJ2へ降格となりました。

J1参入プレーオフではJ1クラブが意地を見せ、過去に1度もJ2クラブへの降格はなく、J2クラブにとってはJ1昇格への希望であると同時に、J1クラブが高い壁となって力の差を見せつけられている状況となっています。

赤文字は自動降格したクラブ、緑文字はJ1参入プレーオフ決勝戦でJ2に勝利して残留したクラブとなります。
シーズン15位(残留)16位(PO)17位(自動降格)18位(自動降格)
2018名古屋(41)磐田(41)柏(39)長崎(30)
2019鳥栖(36)湘南(36)松本(31)磐田(31)

2020:コロナウイルス特例(降格なし)

2020シーズンは年初から新型コロナウイルスが日本でも流行が始まり、

J1は2月末に開幕戦は開催されたものの、それから7月に入るまで休止期間となりました。

長い休止期間があったことで、通常通りのシーズンを送ることは困難となり、

J1およびJ2での降格、そして予定されていたJ1参入プレーオフもなくなることが決定しました。

一方、昇格はJ2からJ1へは2クラブ、J3からJ2も同じく2クラブで運用されました。

シーズン最終節は12月に行われ、異例のシーズンだったといえます。

シーズン15位(残留)16位(残留)17位(残留)18位(残留)
2020横浜FC(33)清水(28)仙台(28)湘南(27)

2021:コロナウイルス特例(4クラブ自動降格)

2021シーズンは2020シーズンの降格なしという特例措置により、J1は20クラブでのシーズンとなりました。

あくまで、20クラブというのは特例措置の結果であるため、通常の18クラブでの運用に戻すため、2021年は4クラブが降格、J2側からの昇格は自動昇格のシーズン上位2クラブのみとする対応が取られました。
シーズン16位(残留)17位
(自動降格)
18位
(自動降格)
19位
(自動降格)
20位
(自動降格)
2021湘南(37)徳島(36)大分(35)仙台(28)横浜FC(27)

J1残留ラインの傾向

試合数が異なる2021シーズンを除いても、勝ち点30をとれないクラブは自動降格もしくはプレーオフに巻き込まれる傾向があります。

また、勝ち点40以下でも安心できない水準ともいえそうです。

一方で、勝ち点40が取れれば残留できる傾向はあります。2018年度で勝ち点41でもプレーオフに巻き込まれるなどの例もありますが、シーズン終盤までに40到達していればJ1残留はほぼ確定といえそうで、サポーターとしても中位または上位争いに目を向けられそうです。

ざっくりリストにまとめると、下記のようになりそうです。
  • 勝ち点30とれないと降格の可能性大(降格ライン)
  • 勝ち点40とれないと降格の可能性あり(混沌ライン)
  • 勝ち点40とれれば残留の可能性大(残留ライン)
2024年シーズンからはJ1は再び20クラブでの運用になり、試合数が年間38試合となることでさらに残留に必要な勝ち点は増えることは間違いありません。

シーズン終盤、黙って降格を受け入れるクラブはなく、毎年最後まで目が離せない残留争いが繰り広げられています。

優勝争いとは異なるもう一つのドラマに注目してみてはいかがでしょうか?