映像を介しての観戦も良いですが、
スタジアムならではの圧倒的にダイナミックな雰囲気の中で観戦することは
他にはかえられない熱くなれる楽しみ方だといえます。
そんな雰囲気を作り出すものの一つにサイドスタンドからの応援があります。
本記事では、サイドスタンドから選手に送られる応援歌「チャント」をについて解説してきます。
目次
チャントについて
チャントの概要について
サッカーの観戦をしているとサイドスタンド(ゴール裏席)を中心に 観客が飛び跳ねたり、応援歌を歌ったりしているシーンを見たことがあると思います。 これらの飛び跳ねたり、応援歌を歌っていることを総じてチャントと呼びます。 チャントは歌ったり飛び跳ねたりしますが、基本的に「歌う」と表現します。 Jリーグはもちろんの事、カップ戦や日本代表の試合や海外のリーグ戦などプロサッカーの成果だけでなく、 JFLや大学、高校サッカーなどアマチュアの試合でもチャントは歌われています。 ちなみに、チャントの言葉の由来としては、ラテン語で歌うを意味するcanere(カネーレ)という言葉が由来で、古フランス語のcantare(カンターレ)→現代英語のchant(チャント)と変化しているところからきています。
チャントの歌い方
試合中のチャントは主にクラブの私設応援団のコールリーダーと呼ばれる先導役の方の合図に合わせて歌うことになります。 略してコルリと呼ばれることもあります。 サイドスタンドにはある程度決められた位置で応援が行われ、私設応援団の方々やサポーターが混じってピッチの選手たちに向けてチャントを歌うことになります。 チャントの歌詞やリズム、振り付けなどはあらかじめ決められており事前に知ることも可能です。
チャントはどこで歌うもの?
チャントを歌える座席に決まりはありませんが、実際にはある程度エリアが暗黙の了解で決まっています。
応援といえばここ:サイドスタンド
一度でもスタジアムで観戦された方であれば何となくでも察していると思いますが、 チャントを歌うのに最適なのがサイドスタンド(ゴール裏)席です。 サイドスタンドを応援団が埋め尽くすような状況もありますが、 一般的なリーグ戦では応援のための観戦者はゴール裏席のエリアの中央、それもピッチに近い下の階層ほど応援団や熱く応援する方々が集まる傾向にあります。 スタジアムに駆けつけたクラブを応援する仲間たちと密集して応援することで、一体感を持って選手の後押しをすることができます。 基本的には座ることは試合前やハーフタイムのみで、常に立ちっぱなしということがほとんどです。 大声を出したり、跳ねたり、ゲーフラを掲げたり、思い切り応援するにはサイドスタンドの下段中央がおすすめです。 そんなサイドスタンドでの応援ですが、念のために補足をしておくと、 サイドスタンド=立って応援というわけではなく、応援の中心地から離れた座席では普通に座って観戦もできますし、何か言われるようなこともありません。
見やすい位置で観戦を楽しみながら応援:メインスタンド、バックスタンド
もちろんですが、メインスタンドやバックスタンドでも応援は可能です。 ただし、メインとバックからの応援はサイドスタンドとの応援スタイルが異なるのが一般的です。 チャントに合わせて歌ったり、手の動きを合わせたり、手拍子したりということをすることはありますが、着席しての観戦が一般的なため、その場で立って飛び跳ねるというようなことはあまりしません。 選手入場時に立ち上がってタオルマフラーを掲げたり、振り回したりすることはありますが立ち上がるのはその時くらいで、観戦と応援の両立できる席だといえます。 そんなメインスタンドやバックスタンドの中でもサイドスタンドよりの座席ほど、応援の熱が強い傾向にあります。
チャントの種類
一言にチャントといってもクラブ全体を応援するものや選手個人を応援するもの、得点や勝利時に喜びを分かち合うものなどが存在します。 種類としては以下のようなものがあります。
- 試合中に選手たちを鼓舞するもの
- 試合中に一番歌う時間の長いチャントが試合に臨む選手を鼓舞するチャントです。
特定の個人の選手を応援するものではなく、戦っているのは選手だけでなくサポーターが仲間としてついているといった感じで選手を鼓舞したり厳しい局面で支えたり多くの意味を持っています。
- 試合中に一番歌う時間の長いチャントが試合に臨む選手を鼓舞するチャントです。
- 選手個人を応援するもの
- スタメンや交代などでピッチに立った選手を鼓舞したり、交代でアウトした選手をねぎらったり、ナイスプレーを称えたり、ファウルを受けて倒れた後に立ち上がったり、得点を決めた時に選手個人のチャントを歌うことがあります。
- 入場時
- クラブ毎にお決まりの入場時のチャントを歌います。基本的には入場時のチャントは1種類で、スタンドに関係なくサポーターはこの時は立ち上がってタオルマフラーを掲げたり、回したりしながら歌ったりする方も多く見られます。
- 得点時
- 得点時にサポーター同士や選手と喜びを分かち合います。
サポートするクラブのゴールシーンはやはり応援団も大変盛り上がります。
そしてテンション高く、得点時のチャントを歌います。
基本的にはこちらも1種類としているクラブが多い印象です。
- 得点時にサポーター同士や選手と喜びを分かち合います。
- 勝利時
- 勝利時に奮闘した選手をねぎらいつつ、勝利という最高の結果を選手やサポーターと分かち合います。サイドスタンド席では選手も客席前まで来て一緒に歌いながら喜ぶことができます。
具体的にどんなチャントがある?
チャントは各クラブで数十種類から百種類を超えるほどチャントの種類があり、 Jリーグクラブのものをすべて合わせると数千を優に超えるほど種類が豊富です。 これは現在使われているチャントの種類の数で、古いチャントが使われなくなり新しいチャントが使われるようになることや、選手の加入や退団などでも入れ替わりが行われます。 このように日々入れ替わりが行われているチャントですが、中にはリズムが一緒でクラブ名だけが異なるチャントも多くありますので、その一例を紹介していきます。 日本代表でも使われるような超有名なチャントを3つ紹介します。クラブでは日本の部分がクラブ名に置き換わるなどとなっており、一度覚えてしまえばクラブでも日本代表の応援でも使えます。
日本代表でも使われるチャント3例
- バモス 日本
- オーーー バモスニッポン ニッポン ニッポン ニッポン オイ オイ オイオイオイオイ
の歌詞でおなじみのチャントです。日本代表でも多くのクラブでも歌われる馴染みのあるチャントだといえます。原曲は「Pops goes the world」という楽曲です。
- オーーー バモスニッポン ニッポン ニッポン ニッポン オイ オイ オイオイオイオイ
- エンターテイナー
- オオ オオー オオー オオー オオオ オオオオー オオーオー×2
オオオオ ニッポン オオオオ ニッポン オオオオー オオーオー
歌詞が「オ」とチーム名だけなので、リズムさえ覚えてしまえば歌うことができるチャントです。シンプルゆえに応援が初めての人でもすぐに歌うことができるのが良いですね。
100年以上前のスコット・ジョプリン氏の楽曲「The Entertainer」が原曲のチャントです。
- オオ オオー オオー オオー オオオ オオオオー オオーオー×2
- アイーダ
- オーオー オオオ オーオーオー オオオオーオオ オオオオオ オオオ オオオ オオオー
クラブ名もなく歌詞に使われている言葉が「オ」だけのチャントです。
150年以上前のジュゼッペ・ヴェルディ氏が発表したオペラが原曲です。
- オーオー オオオ オーオーオー オオオオーオオ オオオオオ オオオ オオオ オオオー
チャントによく使われる言葉の意味
日本代表やいろいろなクラブのチャントを聞いていると同じような言葉が使われていることがわかります。 その中でよく聞く言葉について簡単に説明します。
- バモス
- 「行け」の意味を持ったポルトガル語由来の言葉です。
- オレ(オーレ)
- 「行け」の意味を持ったスペイン語由来の言葉です。
- アレ
- 「行け」の意味を持ったフランス語由来の言葉です。
- ダレ/イダレ
- 「行け」の意味を持ったスペイン語由来の言葉です。
こうして意味を見てみると、外国語由来の掛け声の多くは「行け」というものがほとんどであることがわかります。 言語はさまざまですが、「行け」というシンプルでわかりやすい言葉が一番響くということでしょうか。
応援したいならチャントを覚えてみよう
ここからは、声出し応援エリアで応援するにあたって、チャントを覚えておかなくてはならないかについて私個人の視点で言及していきます。
初めてスタジアムに行く方・応援初心者の方・軽く応援したい方
初めてスタジアムに行く方や、サポーターとして初めて応援される方はチャントを覚えていく必要はないと思っています。 まずはスタジアムの雰囲気を味わったり、試合を楽しんだりする傍らでサポーターがどのような応援をしているかを見てみるのが良いですね。 応援グッズを持ち込んだり、クラブのユニフォームを着用してスタジアムに駆けつけるだけでも十分に選手の応援にはなっていますし、なにより、応援のために現地に駆けつけるというのが実は一番重要だったりします。 スタジアムに何度か通う中で、周りの応援に合わせてチャントを歌うといった感じです。
本格的に応援したい方
スタジアムに通う中で、思い切り応援したいと思うようになったら次はいよいよサイドスタンドの応援のためのサポーターが集まるエリアに参加してみましょう。 スタジアムに通っていても、すべてのチャントを覚えるということは不要です。(種類が多い上に、その場で新チャントのお披露目ということもある) ただし、いくつか主要なチャントはあらかじめ覚えていくと円滑に、そして楽しく応援することができるので予習をしておくことをお勧めします。 覚えておくのは、スタジアムでよく聞くチャントの歌詞やテンポ、推しの選手がいればその選手のチャントを覚えるところで十分かなといった感じです。 もう少し詳しく説明すると、覚えていくとなじみやすいけど、ジャンプやクラップ(手拍子)、歌などのタイミングは現地に行かないとなかなかつかめないので無理に覚えていく必要はないといったところです。 どんなチャントがあるのかや歌詞などを少し予習する程度で十分です。 なにより、現地でチャントを歌ったり跳ねたりしていれば覚えるしなじんできます。(予習よりはるかに重要) 最初はハードルが高いように感じるかもしれませんが、選手やクラブを応援する気持ちが強くなってきたらゴール裏で思いっきり応援するのもいかがでしょうか?楽しいですよ!
チャントの予習できる場所
チャントを覚えるには生きた応援の場である現地観戦でチャントを歌っているサポーターを直接見ることが圧倒的に適していますが、他にも予習ができる場所もしっかりあります。 現地観戦含め、自宅でできるチャントの予習方法についてもいくつか紹介します。
- 1.現地観戦
- いきなりサイドスタンドの応援団の輪の中に飛び込むわけではなく、メインスタンドやバックスタンドからサポーターがどのような応援をしているかを観戦しながら見聞きする方法です。
歌詞や振り付けはもちろんの事、どのような場面でどのチャントを歌うかなど現地観戦でしかわからない感覚をつかむことができます。
スタジアムで何度か試合観戦をしていると自然と歌詞が頭に残ったりするので一番リアルな予習ができるのが現地観戦による予習方法です。
- いきなりサイドスタンドの応援団の輪の中に飛び込むわけではなく、メインスタンドやバックスタンドからサポーターがどのような応援をしているかを観戦しながら見聞きする方法です。
- 2.私設応援団のホームページ
- 多くのクラブには私設応援団と呼ばれる、応援団が存在しています。
私設応援団は、クラブのチャントの作成から応援の中心となるエリアの指定や試合当日の応援の取り仕切りなどを行っています。
そんな私設応援団はホームページを設けていることも多く、ホームページには使用されているチャントの歌詞や音声、振り付けの動画などが掲載されています。
ホームページには、私設応援団の名前がわからなくても、「クラブ名+私設応援団」で検索するか、クラブの公式HPに私設応援団のホームページへのリンクが貼られていることがあるのでそこからアクセス可能です。
- 多くのクラブには私設応援団と呼ばれる、応援団が存在しています。
- 3.動画配信サービス
- 歌詞や振り付けを覚えるにはYoutubeなどで覚えることも可能です。
また、ゴール裏の雰囲気などをアップロードしている配信者の方もいるので動画から予習することもできます。
必ずしも最新のチャントが上がっているわけではないという点は注意点ですが、自宅で時間に関係なく気軽に覚えるには最適な方法だといえそうです。
他にもSNSなどで上げている方もいますので参考にしてみてください。
- 歌詞や振り付けを覚えるにはYoutubeなどで覚えることも可能です。
- 4.試合映像
- テレビ放映やサブスク(DAZNなど)の試合映像からもチャントを見聞きすることができます。
ただし、試合映像はもちろん試合がメインで、チャントは聞こえてくる程度、応援する姿の映像が映っても一部のみなど、チャントを予習する手段としては不十分なので他の方法で予習することが現実的です。
- テレビ放映やサブスク(DAZNなど)の試合映像からもチャントを見聞きすることができます。
さいごに
応援にはいろいろな形があり、周りに迷惑をかけるような行き過ぎた行為を除いてこうしなければならないというものはありません。 自クラブのサポーターで埋まった応援席ほど選手の力になるものはないと思いますが、 チャントはそれに匹敵するくらい選手を応援する一つの手段ととらえてもらえればと思います。 クラブのサポートする気持ちは最初から強くあるようなものではなく、試合を見ていく中で一歩ずつゆっくり進むもので、だんだん応援する気持ちが強くなるものです。 初めは試合を観戦する、グッズを買うなどからスタートし、タオルマフラーを買う、レプリカユニフォームを買う、ゴール裏で応援してみる、チャントを歌って応援するなど人によって差異はあれど、段階的に気持ちは強くなっていくようなものだと感じます。 誰かを本気で応援するということはなかなかできないことではありますが、素晴らしいことですね。 素敵なサポーターライフの一つとして、チャントを覚えてみてはいかがでしょうか?