2023年はJリーグ発足から30周年の節目であり、クラブ数もJ1からJ3までで60クラブになるなどJリーグの発展を象徴する年にもなりました。
そんな2023年の日本サッカーを筆者が独断と偏見で選択した流行語10選を紹介していきます。
目次
Jリーグ30周年
2023年にJリーグは30周年を迎え、Jリーグにとって記念すべき1年となりました。 5月には国立競技場では「Jリーグ30周年記念スペシャルマッチ」が2試合、全国各地のスタジアムでは「Jリーグ30周年記念マッチ」が行われるなど記念すべき催しが行われました。 また、1993年5月にJリーグは当初10クラブで開幕しましたが、30周年を迎えた2023年にはJ1からJ3を合わせて60クラブと6倍まで増え、国内の多くの都道府県にプロサッカーが根付き、身近なものになるなど日本サッカーの拡大が成功している証だといえますね。
マスクなし応援解禁
2020シーズンJ1,J2リーグの第2節(J3は第1節)から新型コロナウイルスまん延による試合の開催が長期にわたって延期されることとなりました。 6月末にリーグ戦はようやく再開されるも、観客をスタジアムに入れない無観客試合(リモートマッチと呼んでいました)での開催となりスタジアムに行けない寂しい時期がありました。 シーズン終盤には有観客試合での観戦も可能となりましたが、入場者数も制限され、スタジアム内でも応援もできないというものでした。 2021シーズンには入場制限がありながらもマスクを着用しての声出し応援が一部で再開されるようになり、 2022シーズンは入場制限やマスク着用は継続されながらもゴール裏席で全面的に声出し応援が可能となりました。 そして、2023シーズンには入場制限やマスク着用の義務も撤廃され、Jリーグの日常がようやく戻ってきました。コロナウイルス感染のリスクがなくなったわけではありませんが、一時期のピークを越え、スタジアムはファン、サポーターが楽しめる本来の役割を果たす場所になりました。
Jリーグ秋春制/スプリングカップ
2023年はJリーグへの将来的な秋春制の導入が本格的に検討されるようになり、一気に話も進んで秋春制の導入の決定した年になりました。 以前から導入の話は合ったのですが、シーズン中に冬が含まれるため日本海側や冬の寒さが厳しい地域にホームタウンを持つ多くのクラブから多くの反対意見が上がって導入検討を見送られていました。 2023シーズンに秋春制の本格導入が検討が進んだ背景としては、「ACLで秋春制が採用されたこと」「選手の海外リーグへの挑戦や海外選手のJリーグへの移籍を円滑にするため」「夏の暑さで選手のパフォーマンスが下がることを回避するため」といった外部環境の変化と選手ファーストの考えが優先されるようになったからという要因が大きいといえるでしょう。 そもそも秋春制というのはシーズンが秋に始まって春(初夏)に終わる制度で、欧州のリーグなどで以前から導入されている制度です。先述の通りACLでも2023-24シーズンより導入されており、アジアでも採用が進んできています。 現在日本で取られているのは言わば春秋制というもので、シーズンが春に始まって秋(初冬)に終わるというものです。寒い時期に始まって夏を超えてまた寒い時期に終わるというのが特徴的です。2023シーズンなどその年に始まってその年のうちに終わるようなものが春秋制です。秋春制は2023-24シーズンなど、年を跨いで開催されるのが特徴です。 秋春制のメリット、デメリットは非常に多くありここでは書ききれないため別記事でまとめたいと思います。 現在Jリーグでは、2026-27シーズンからの導入をターゲットに検討されており、8月ごろにリーグが開始され、5月ごろにリーグを終了するようになると思われます。冬には中断期間が設けられ、12月中旬から2月上旬までは試合が行われないことになると思われます。 また、2025シーズンから2026-27シーズンまでの間に9か月程度の長いブランクができるため、2026年限定でスプリングカップという仕組みが検討されています。スプリングカップは全国で戦うJリーグとは異なり、地域ごとにカップ戦を設け、その中で勝敗を決するというものになります。
J3撤退(DAZN)
DAZNは2024シーズンからJ3の放映から撤退することを発表しました。 Jリーグ側と協議して決まったことであり、リアルタイムの映像でJ3が全く見られなくなるというわけではなさそうですが、ホームゲームが行われる地域での地上波放送に限られるなどアウェイの試合観戦が難しくなるなどサポーター生活に影響を及ぼすような内容であることは間違いなさそうです。 J1,J2はこれまで通りDAZN Standardプランで視聴することは可能です。J3については一度は2024シーズンから全試合放映が廃止されると発表がありましたが撤回され、2025シーズンまでは全試合放映となり、もうしばらくは観戦を楽しめることとなりました。好きなクラブの試合を視聴するためにも2025年までの2年間はJ2からJ3への降格争いやJ2からJ3への昇格争いもサポーターからしたらこれまで以上に熱くなりそうです。 2024年に新設されたDAZN Freemiumという無料プランで一部のJリーグの試合が放映されることとなりましたが、おそらく2026年以降はJ3も放映対象から除外されるものと思われます。2026年以降はホームの試合放送地域に住んでいないJ3クラブサポーターにとっては、現地観戦以外はほとんどの試合を楽しむことができなくなるため、DAZNの放映撤退は週末の楽しみを奪われる致命的なものといっても過言ではないといえそうです。 J2以上のカテゴリであれば、これまでと変わらずに楽しむことはできますが、かなり衝撃的な内容だといえます。
スタグル人気
Jリーグの観戦に来た外国人の間で日本のスタジアムグルメのクオリティの高さと安さについてSNSなどで多く配信され、日本国内でも話題になりました。 スタグルはコンビニのお弁当と比べてもそれほど高くなく、地元の名店からご当地グルメまでが広く並び、できたてのクオリティの高い食事ができるので、ホームサポーターからアウェイサポーターまで楽しむことができます。 スタジアムでは試合観戦がメインの目的になると思いますが、気軽においしいものを楽しめるスタグルも引けを取らないくらいスタジアムに行く目的になるものだといっても過言ではないと思います。
Jリーグ連合/J2連合
ACL2023-24のグループステージにはJ2のカテゴリに所属するヴァンフォーレ甲府が前年度の天皇杯の王者として出場しました。 ホームスタジアムであるJITリサイクルインクスタジアムが使用できず、国立競技場を代わりにホームスタジアムに指定するなど甲府サポーターとしては本来のホームスタジアムで試合ができないという何とも歯痒い状況となりました。 一方で、甲府スタッフはこれを逆手にとり「#甲府にチカラを」という言葉と共に甲府以外のJリーグサポーターにACLホームゲームの観戦を促す取り組みを行いました。 甲府スタッフの渾身の活動や国立競技場という立地の良さから、都内近郊で働く方や在住する他サポーターも平日のスタジアムにあつまり、スタジアムの一角に他クラブのユニフォームを着た人が並ぶというこれまでにない光景が見られました。 国立競技場でありながら、JITリサイクルインクスタジアムと同額の座席価格という安さも他サポーターをはじめとした集客が多くなった要因だといえそうです。
J2初のACL決勝トーナメント進出(ヴァンフォーレ甲府)
ACLに出場したヴァンフォーレ甲府はJ2所属ながらアジアで快進撃を見せました。 甲府にとって初のACLで海外での試合ではオーストラリアのメルボルンシティ相手に勝ち点1を取り、続くホームのブリーラムユナイテッド戦では勝ち点3を手にしました。 J2クラブとしてACLで勝ち点を得ること、勝利すること、アウェイで勝利することはJ2クラブとしてはこれまでどのクラブもなしえなかったことでJリーグクラブの歴史を塗り替えたといえるでしょう。 また、ACL後半3試合で10得点するなど攻撃力が爆発した甲府はそのままACLグループステージを首位で突破し、これまた初のACL決勝トーナメントに進出することになりました。 残念ながらシーズンオフには、ACLでも活躍した甲府の10番長谷川元希のJ1への移籍やプロ1年目でJ2から異例の日本代表選出された三浦颯太の移籍と選手の入れ替わりの影響は少なからず受けることになると思いますが、2024年2月から開催されるACL決勝トーナメントで快進撃がどこまで続くか注目です。
ルヴァンカップ初制覇(アビスパ福岡)
アビスパ福岡はJリーグに参入して以来長らくJ1昇格とJ2降格を繰り返してきたエレベータクラブという立ち位置で、近年ではJ1に昇格以降中位に位置するなど中堅クラブという印象がありました。 ただし、2022年は天皇杯、ルヴァンカップの双方でベスト8に進出するなど頭角を現す中で続く2023年にルヴァンカップ決勝で浦和レッズを下し、悲願である三大大会でのタイトル獲得を成し遂げました。 プロ野球の人気が圧倒的な福岡でのプロサッカータイトル獲得はインパクトがあり、今後福岡県内のスポーツ人気の勢力図に影響を与えるかもしれません。
ACL制覇(浦和レッズ)
浦和レッズは2022年度のACLで日本勢としては2018年の鹿島アントラーズぶりのACL制覇を成し遂げました。 2022年度といってもコロナウイルス感染対策の関係もあり、決勝戦は2023年4月29日と5月6日に開催されました。 アウェイで西地区の王者サウジアラビアのアル・ヒラルに1-1で引き分けた浦和レッズは、5月6日のホームで1-0で勝利し、優勝を決めることとなりました。 決勝戦での埼玉スタジアムの壮大なコレオが記憶に残っている人も多いでしょう。 浦和レッズのACL制覇は日本勢最多の3回目となりました。 ちなみにACLで優勝した浦和レッズはアジアクラブの代表としてクラブワールドカップに出場し、健闘して4位で終えています。
イニエスタ退団(ヴィッセル神戸)
元スペイン代表でサッカーファンであれば知らない人はいないアンドレス・イニエスタのヴィッセル神戸加入の報道は2018年シーズン途中に突然発表され、にわかに日本サッカー界がざわつくことになりました。 イニエスタは加入当初から絶妙すぎるパスから多くの得点機を演出するなどJリーグでも圧倒的な力を発揮し、また、イニエスタ見たさにホーム、アウェイ問わずにスタジアムにサポーターが駆け付けるなどJリーグを大いに盛り上げる要因になったことは間違いありません。 そんなイニエスタが所属していたヴィッセル神戸は一時期はイニエスタと同じく元スペイン代表のダビド・ビジャ元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキが揃うなど世界的にも錚々たるメンバーが揃うなど圧倒的注目クラブとなりましたが、これらの選手の在籍中にJリーグの制覇はできませんでした。一方でクラブのキャプテンとなった在籍2年目の2019年に天皇杯を制覇するといったタイトルの獲得など大きな成果を残しています。 2022シーズンに一時期降格争いに巻き込まれるなど苦戦を強いられた神戸は怪我での離脱の多かったイニエスタを起用しないことも徐々に増え、2023シーズンには出場機会をめっきり減らすこととなりました。 そんな中、イニエスタの引退が発表され、7月1日のホームでのコンサドーレ札幌戦ではスタメンとして出場し57分間プレーしました。世界的なプレイヤーの最終試合ということもあってスタジアムの観戦チケットは当然のように完売したというのは言うまでもありません。 5年間という長い間、プレーや人柄の良さで日本サッカー界を盛り上げてくれたのは他サポーターであっても感謝している人も多いでしょう。