2022年を振り返ってみます。
振り返ればコロナウイルスによりおよそ2年半、長らく禁じられていた声出し応援が復活し、
カタールワールドカップが開催された年でした。
そんな中、個人的に思いついた2022年のサッカーのキーワード(流行語)を10個選定して振り返っていきます。
目次
2022年のサッカー流行語
三笘の1ミリ
サッカーファンなら言わずもがなの、2022カタールワールドカップのE組グループリーグ第3戦のスペイン戦で日本代表の三笘薫選手が魅せたゴールライン際の折り返しのことです。 この折り返しにゴール前に詰めていた田中碧選手がゴールに流し込んで、一度はリードを許したスペイン代表相手に対する逆転ゴールを決めたことで、折り返しがゴールラインを割っているのではないか、逆に割っていないのではないかと話題になりました。 結果的にVARによってもラインを割っていないという判定がされ、ゴールが認められ、日本、スペインだけでなく、同時刻にコスタリカと戦い決勝トーナメント進出を狙っていたドイツの明暗を分ける形になりました。 三笘の1ミリは後から出てきた言葉ですが、試合後にピッチ上で撮影していたカメラマンから投稿された1枚のゴールラインを割っていないことを証明する写真や厳密には、1.88mmボールがピッチに残っていたことなどが判明し、本大会が終わってからも止まずに議論がされています。 ドイツ、スペインを破っての奇跡のE組1位突破を思い出しますね。 後に2023年の富士フイルムスーパーカップで前年天皇杯覇者のヴァンフォーレ甲府とJ1優勝の横浜F・マリノスの一戦で、オフサイドがあったか判断のためにVARの長い中段の末にゴールが認められたウタカの1ミリという言葉に派生するなど翌年のサッカーにも影響を及ぼしました。
VAR
VAR自体は国内でもJ1リーグで使用されていましたが、特に今年カタールワールドカップで世界中で注目されました。 同大会では、半自動オフサイド検知なども注目を浴びましたが、上記でも述べた三笘の1mmのように大会を通してVARの賛否が話題になりました。
PK戦
カタールワールドカップ決勝トーナメントで日本代表がベスト16で敗れたのも、ブラジル代表がベスト16で敗れたのもPK戦。決勝戦でアルゼンチンがフランス代表に勝利したのもPK戦です。 PK戦は、1本のシュートでチームに天国と地獄を生み出す、サッカーにおいては当たり前だけどとても特別な時間です。 第102回天皇杯決勝でも、PK戦で決着がつきヴァンフォーレ甲府が初の栄冠に輝くなど、2022年の多くのの大きな結末を生み出したPK戦を選出しました。
低ポゼッションサッカー
日本代表がドイツ代表に勝利した試合も、スペイン代表に2-1で勝利した試合も圧倒的に日本のポゼッションが低い試合でした。 特にスペイン戦での日本代表のポゼッションは17.7%とワールドカップで勝利したチームとしてはこれまでで最低のポゼッションを更新したとFIFAから発表されたことで大きな驚きを与えました。 ワールドカップ本大会で、低ポゼッションチームが勝利を挙げる試合は他にも随所に見られ、サウジアラビアがアルゼンチンを破った試合でも同様の傾向であったことから、ポゼッションサッカーにこだわるサッカー=勝てるサッカーという図式に揺らぎが見えた象徴的な大会になりました。
下剋上/ジャイアントキリング
J3リーグではいわきFCと藤枝MYFCが初のJ2昇格を果たしたり、J2リーグではロアッソ熊本がリーグ戦を上位で終えJ1参入プレーオフでJ1昇格目前まで進むなど大きな番狂わせでリーグ戦を盛り上げてきました。 天皇杯でもJ2のヴァンフォーレ甲府が格上のJ1クラブに5連勝して優勝するなど、歴史に残る番狂わせを起こしたことも大きな話題になりました。 そして、やはり忘れられないのがカタールワールドカップで日本代表が圧倒的に格上のドイツ代表、スペイン代表を相手に立て続けに逆転勝利を決めたことに尽きるでしょう。 覆るはずのない力の差を戦術や戦略で覆してしまうことによって得られるとてつもない爽快感。 そんなジャイアントキリングが多く見られた2022年はサッカー界にとって特別な1年だったと言えるでしょう。
ヴァンディエラ
バンディエラとも表現されることがありますが、要は特定のクラブに長く在籍してクラブの内外から認められるようなクラブの顔と呼ばれる選手のことを指します。ちなみに、由来はイタリア語で「旗頭」という意味合いです。 有名な選手としてはすでに引退しましたが、鹿島アントラーズの曽ヶ端準選手や川崎フロンターレの中村憲剛選手などが有名なヴァンディエラと言えるでしょう。 2022年は天皇杯決勝でPK戦の5人目として最後のPKを決めたヴァンフォーレ甲府のオミこと山本英臣選手がネット記事などを中心にヴァンディエラとして多く紹介されていました。 山本選手は現役を通して1つのクラブだけでプレーをしていたわけではありませんが、甲府で20年プレーする43歳現役プレイヤーとして、まだまだ現役であることも注目されました。 なお、2023シーズンも甲府での現役続行が確定しており、ACLでのプレーを含めてこれからも注目を浴びそうです。
カテゴリ別配分金
2022シーズン途中に2023シーズン以降のJリーグカテゴリ別配分金の配分比率の変更が発表されました。 2022シーズンでは、J1クラブは3億5000万円、J2クラブは1億5000万円、J3クラブは3000万円を配分されていましたが、2023シーズンからはJ1クラブへの配分金がJ2クラブへの配分金に対して、5~6倍程度になると発表されました。 J1クラブへの配分金は増額されることはほぼ確定かと思われますが、J2クラブ以下については減額が確実だといえそうです。 というのも理由があり、2022年度の配分金の合計額は150億円程度でしたが、2023年度の配分金についてはおよそ115億円程度であることが既に承認済であるためそのような予測が立てられます。 J1とJ2以下のクラブへの分配金格差は海外でも同様な取り組みがされており、日本国内でもそれに倣ってJ1クラブをさらに魅力的なクラブとして、Jリーグを活性化するのが目的とのことです。実際にどうなるかは2023シーズン以降の動向が注目ですね。
ブラボー
ワールドカップを見ている方はもちろん、見ていない方もテレビやネット、もしくは現実世界で耳にした方も多いのではないでしょうか。 説明不要かと思いますが、ワールドカップで強敵に勝利したときに長友佑都選手が叫んでいたことで一時的に国内で大流行した言葉です。 ちなみに、私の周りで実際に使っていた人はいませんでした。
ジュビロ二重契約
2022年に起きたジュビロ磐田と選手との契約問題で、FIFAからの罰則として、磐田は2023年に選手との新規契約ができなくなり、実質的に2022シーズンの現有戦力で戦わなければならなくなりました。 磐田でプレーしている外国人選手が、磐田との契約前にタイのクラブと契約を決めていたことで二重契約となったことが本問題の事がFIFAの罰則対象となりました。 ジュビロ磐田はこの罰則に対し反論しましたが、2022年12月に正式にスポーツ仲裁裁判所に訴えを棄却されたことで、2022シーズンオフ、2023シーズン夏の移籍市場での補強ができなくなりました。 Jリーグではかなりの異例のことで、2023シーズンのジュビロ磐田には心配と共に、選手の奮起に期待がありリーグ戦の結果に注目が集まりそうです。
ACLスタジアム基準
第102回天皇杯で優勝したJ2のヴァンフォーレ甲府は、2023年のACL出場を決めました。 ただし、同時にホームスタジアムであるJITリサイクルインクスタジアムがACLのスタジアム基準を満たしていないという問題が表に出てきました。 過去にホームスタジアムで開催できないという危機があったクラブは日本国内でもありましたが、いづれのクラブもホームでの開催を実現させています。 ヴァンフォーレ甲府の新ホームスタジアム建設計画は現在止まっており、現在のホームスタジアムを改築するしか手はありませんが、ACL使用への改修には大幅に資金が必要となるため実現は難しそうです。 現実的な落としどころとして、山梨県近隣のACL基準を満たしたスタジアムを借用しての開催となりそうです。 日本国内初の難題を2022年の流行語に選定しました。