新しくなるACLの仕組みについて解説

ACLは2023/24シーズンに続き、2024/25シーズンでも大きな仕組みの変更が施行されます。

当記事では、そんなACLの変更点を中心に解説していきます。

この記事を読んでわかること
・ACLとは何か
・新しいACL仕組みについて
・JリーグからACLに出場するには?

ACLとは

変化点を解説する前にACLとは何かについて簡単に説明します。

ACLはAFCチャンピオンズリーグ(AFC Champions League)の略称で、

アジアの最強クラブを決定するためのリーグのことを指します。

2023年まではACLで優勝したクラブはFIFAクラブワールドカップへの出場権利を獲得し、6大陸+開催国の計7クラブで世界一のクラブを決定するトーナメントが行われます。(2024年からは4年に1度の開催と参加クラブが32クラブになるといった大幅な変更がされ、現在の毎年開催はFIFAインターコンチネンタルカップという名前で存続されます)

ちなみに、AFCはアジアサッカー連盟(Asia Football Confederation)の頭文字を取ったものです。

また、2006年よりオーストラリアもオセアニアからAFCに加盟をしています。

ACLより規模が大きいものでは、ヨーロッパではUEFAチャンピオンズリーグといったクラブの頂点を決めるリーグも開催されています。
ACLの概要
・毎年1回開催されるアジアのクラブ最強を決めるリーグ
・出場できるのは各国で前年に成績を残した最強クラスのクラブのみ
・1967年から開催されている歴史のあるリーグ
ACLは毎年開催され、アジア各国の最強クラスのクラブに出場権が割り当てられます。

基本的には、前年度の各国のリーグ戦やカップ戦で成績を残したクラブが出場権を獲得することになります。

大まかに西アジアと東アジアに分かれており、東アジアでは日本、韓国、中国を始め、タイ、マレーシア、シンガポール、オーストラリアなどが参加しています。
ACLにはホームスタジアムの基準があり、J1の基準より厳しいものが設定されています。

例えば、背もたれ付きの座席が5000席以上であったり、ナイター照明が1800ルクス以上などがそれにあたります。

もし、ACL出場資格を獲得してもスタジアムがACL基準を満たしていない場合、ホームスタジアムとして使用することができません。

このような場合、ACL基準を満たす別のスタジアムをホームスタジアムに指定する必要があります。

記憶に新しいものとしては、ヴァンフォーレ甲府が国立競技場をホームスタジアムに指定したなどの事例があります。

ACL新方式について

ACLはこれまでも複数回にわたって開催方式の変化を繰り返してきました。

例えば以下のような変更が実施されています。

2023-24年大会までの変更

  • 2002~03年大会:東地区8クラブ、西地区8クラブの計16クラブで開催
  • 2004~08年大会:東地区12クラブ、西地区16クラブの計28クラブで開催
  • 2009~20年大会:東地区16クラブ、西地区16クラブの計32クラブで開催
  • 2021年大会~:東地区20クラブ、西地区20クラブの計40クラブで開催
  • 2023-24年大会:秋春制の採用開始
ACLへの参加枠は2000年代に徐々に拡大されていきました。

そして、2023-24年大会から秋春制が採用されました。

秋春制は欧州で以前より採用されており、秋にリーグが開始され、年を跨いで春(実質的に初夏)にリーグ終了するといった制度です。

アジア諸国のプロサッカーリーグでも徐々に秋春制の採用が拡大してきています。

ACLでも2024-25年大会も秋春制が引き続き採用されます。

2024-25年大会からの新構成

秋春制も大きな変化であることは間違いありませんが、2024-25年大会でもACLは大きな転換期を迎えます。

それが3リーグ制の採用です。

2021年大会以降、40クラブで構成され、近年まで出場するクラブが横並びの1リーグ制で運用されてきましたが、以下のものに変わります。
ACLの3つのリーグ
・AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)
・AFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)
・AFCチャレンジリーグ(ACGL)

AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)

ACLEはACLの中でも本当に強いクラブのみが参加できる最高峰のリーグという位置づけです。

このリーグに参加できるのは、ごく限られたクラブのみで東地区12クラブ、西地区12クラブの計24クラブで構成されます。

各地区で上位6か国がこのリーグに所属することになります。(要は12か国の中から24クラブが参加)

2023-24シーズンで置き換えると、ACLに出場かつグループリーグを突破する力があるクラブが集まったリーグといったイメージが近いかもしれません。

リーグの内容は、まずファーストステージでは各地区の12クラブ内でホーム4試合、アウェイ4試合の8試合が行われ、成績の良かった8クラブがファイナルステージに進みます。

ファイナルステージでは、東地区、西地区で勝ち上がった16クラブでノックアウト方式で勝負が行われ、勝ち抜いたクラブが優勝となります。

AFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)

ACL2はACLの中でも強豪と言われる位置付けのリーグです。

このリーグは、東地区で16クラブ、西地区で16クラブの計32クラブで構成されます。

各地区で上位12か国に参加資格が与えられています。(要は24か国の中から32クラブが参加)

2023-24シーズンに置き換えると、ACLに出場する力はあるがグループリーグで敗退するくらいのレベルが近いです。

リーグの内容は、ファーストステージで各地区で4クラブで構成されるグループが4組に分かれ、ホーム&アウェイ方式の計6試合で争われ、上位2クラブがファイナルステージに進みます。

ファイナルステージでは、東地区、西地区で勝ち上がった16クラブでノックアウト方式で勝負が行われ、勝ち抜いたクラブが優勝となります。

クラブ数は違えど、2023-24シーズンで取られている方式に似ているリーグだといえます。

AFCチャレンジリーグ(ACGL)

ACGLはアジアサッカーのレベルアップを目的としたリーグです。

名前が「チャンピオンズリーグ」ではなく「チャレンジリーグ」であることからもわかるように、このリーグに参加可能なのは東地区、西地区でそれぞれ上位11~20位に位置付けられる国で、トップレベルには届かないまでも近い将来強豪になる可能性を秘めた国が所属します。

このリーグは、東地区10クラブ、西地区10クラブの計20クラブで構成され、各国から1クラブずつが所属することになります。

リーグの内容は、ファーストステージでは東西を混ぜた20クラブを4クラブ5組に分け、総当たりの3試合を行った結果、成績上位8クラブがファイナルステージに進みます。

ファイナルステージでは、ノックアウト方式で勝負が行われ、勝ち抜いたクラブが優勝となります。

日本のクラブがACLに出場するには

日本に割り当てられるACL枠数

ACL新方式では、日本のクラブに割り当てられる枠数は4枠です。

内訳としては、最上位のACLEは3枠、次点のACL2には1枠が割り当てられます。

ACLEへの割り当て3枠というのはアジアでも最大の割り当て数(他にもサウジアラビアや韓国などが同数)で、Jリーグがこれまでアジアで成績を残していることが反映されています。

ちなみにACGLへの日本のクラブの割り当てはありません。

ポイントとしては、ACLに出場するのはJ1リーグ上位クラブと天皇杯優勝クラブというところです。また、これまで通りルヴァンカップで優勝しても出場権は割り当てられません。

この仕組みは今までのACL出場条件と変更ありません。

日本からのACL出場条件

ACL出場パターンは2パターンあります。

1つは日本のクラブが前年度にACL(2024-25以降はACLE)で優勝しなかったパターンです。

そして2つ目が日本のクラブが優勝したパターンです。

パターンによって出場できるクラブの条件が変わるので個別に解説していきます。

パターン1:日本のクラブがACL(ACLE)で前年度優勝しなかった場合

日本のクラブは強い。とはいえ、他国にも強いクラブもあり、拮抗しているかそれ以上に強いアジアクラブも存在しています。近年では中東のクラブがヨーロッパや南米などの世界トップクラスの選手を在籍させるなどもよく見られるようになり、西地区が特に力をつけてきている印象もあります。

優勝が容易でないことを考えると多くの場合は、パターン1となることが考えられます。

この場合の日本からのACL出場は以下のようになります。
日本からのACL出場条件パターン1
・J1リーグ優勝 → ACLE
・天皇杯優勝 → ACLE
・J1リーグ準優勝 → ACLE
・J1リーグ3位 → ACL2
トップリーグであるACLEには「J1優勝」「J1準優勝」「J1年間3位」することで出場できます。

また、ACL2には「天皇杯優勝」で出場が可能です。

ありうるパターンとして、「J1で1位~3位」のいずれかのクラブが天皇杯でも優勝する場合ですが、その場合は、ACLEは「J1リーグ1位~3位」、ACL2は「J1リーグ4位」と繰り上げられます。

パターン2:日本のクラブがACL(ACLE)で前年度優勝した場合

日本のクラブがACL(ACLE)で優勝した場合は、日本からのACL出場枠は以下のようになります。
日本からのACL出場条件パターン2
・ACL(ACLE)前年度優勝 → ACLE
・J1リーグ優勝 → ACLE
・天皇杯優勝 → ACLE
・J1リーグ準優勝 → ACL2
ACL(ACLE)に日本のクラブが優勝した場合、次年度もACLEの出場権がクラブに無条件に割り当てられます。ディフェンディングチャンピオンみたいな位置づけですね。

この場合、トップリーグであるACLEには「ACL(ACLE)前年度優勝」「J1優勝」「J1準優勝」することで出場できます。

ACL2には「天皇杯優勝」が出場条件となります。

ありうるパターンとしては、「ACL(ACLE)前年度優勝」「J1優勝(もしくは準優勝)」「天皇杯優勝」のうち2つが重複する場合です。

この場合は、ACLEに「J1準優勝」クラブが繰り上げで出場資格が割り当てられ、ACL2にも「J1リーグ3位」のクラブが繰り上げで出場権が与えられます。

さらに考えられるパターンとして、「ACL(ACLE)前年度優勝」「J1優勝(もしくは準優勝か3位)」「天皇杯優勝」の3つが重複する場合です。

この場合は、ACLEには「J1リーグ1位~3位(ACL前年度優勝、天皇杯優勝重複)」のクラブが参加し、ACL2に「J1リーグ4位」のクラブが繰り上げで出場権が割り当てられます。

J2以下のカテゴリから出場するには

J2以下からは「ACLE」への出場は実質的にできません。「ACL2」へ出場できる可能性はあり、天皇杯で優勝することでその権利を得ることができます。

言わずもがなですが、かなりハードルは高いです。ただし、これはJ1クラブでも同じことがいえるため、サポートするクラブの勝利を信じるほかありません。