当ブログでは開設以来毎年纏めているサッカー流行語10選(Jリーグを中心とした視点で)ですが、2024年も記事にしたいと思います。
完全に自己満足の記事ですが、2024シーズンの振り返りの参考に拝読いただければ幸いです。
目次
町田ゼルビア旋風
2023シーズンにJ2で序盤から好調を維持して首位で初のJ1昇格を決めた町田ゼルビア。2024シーズンに舞台をJ1に移してからも好調は続き、早々に首位に立ちます。
一時期は2位に勝ち点差で5をつけるなど、初めてJ1に昇格したクラブとは思えない程の強さを見せつけます。
終盤まで首位を維持しますが、さすがに研究されたのか勝ちに見放されると最終盤には神戸と広島に抜かれ首位を明け渡します。それでも最終節まで優勝の可能性を残すなどを演じ、J1に町田ゼルビア旋風を巻き起こしました。
好調の要因は、2023シーズンに青森山田高校からプロの監督経験のない黒田監督の抜擢がはまったこと、そしてクラブの大規模な補強にありました。
それまでの町田は失礼ですがお世辞にもJリーグに大旋風を巻き起こすような雰囲気は感じられませんでした。その予想を裏切ったのが、補強と黒田監督の大胆な戦術です。
そこには批判がつきまといました。ラフなタックルや倒れた相手選手を手当てするでもなくピッチ外に避けるなどのスポーツマンシップに反する行為は相手クラブだけではなくその他クラブのサポーターからも批判を受けました。その批判はロングスローの多様やスローイン時にボールをタオルで拭く、セットプレー時にボールに飲料水をかけて濡らすなどの行為にも及びました。
批判はエスカレートし、クラブへの脅迫など試合とは関係のないところまで飛び火してしまいました。
それでもシーズン3位といった結果を残した町田は2024年の話題をかっさらったと言えるでしょう。
RB大宮
2017年にJ2に降格し長らく低迷していた大宮は、2023シーズンに不本意な成績でJ3に降格しました。そんな大宮ですが、今シーズンはかつての強い大宮が帰ってきたと思わせるような圧倒的な成績で早々にJ2復帰を決めました。
そして長らく大宮のスポンサーを務めてきたNTT東日本から翼を授けるエナジードリンクでおなじみのオーストリアの企業であるレッドブルにクラブの経営権が譲渡されました。経営権が移ると早速シーズン途中にも大宮アルディージャから名称変更を行い、RB大宮アルディージャとしてリスタートすることとなりました。
Jリーグのクラブ運営に国外企業が参入するというのも異例とも言えます。
クラブロゴも変わり、オレンジと紺色を基調としたリスを描いたものから、紺とオレンジを背景に赤い牛2頭がサッカーボールに角を立てるものへと変更されました。
クラブロゴからトレードマークのリスは消えましたが、マスコットキャラクターのリスのアルディとミーヤはそのまま残ることが決定しています。クラブ名のアルディージャはスペイン語でリスを意味するためクラブ名に残りました。ちなみに大宮駅東口の出口にはこリスのトトちゃんという有名な像がありますので大宮に遠征される方は探してみてください。
新クラブ名「RB大宮アルディージャ」のRBについては、レッドブルの略だと思いがちですがそうではなく、「Rasen Ballsport」を略したものだそうです。ドイツ語で芝生の球技という意味合いです。ちなみにJリーグのクラブ名には今も企業名を入れることは禁止されています。
0.5シーズン
これまでJリーグといえば、春前の2月もしくは3月からはじまり、秋の終わりの11月12月にシーズンを終えるのが当たり前でした。
このリーグ方式は春秋制と呼ばれ、2025シーズンを最後に新方式に移ることとなりました。
新方式は秋春制(あきはるせい)と呼ばれ、9月頃にシーズンが始まり、6月にシーズン終了となります。秋春制は主に欧米で採用されている方式で、アジアでも各国で徐々に採用されるようになってきています。
これまでJリーグと欧米クラブのシーズンが異なることから、選手の移籍などに難がありました。秋春制によりシーズン途中の移籍ではなくシーズンの頭からクラブに加入するなど円滑な選手人事が見込まれます。スキルのある海外挑戦や逆に助っ人のJリーグ加入などが積極的に行いやすくなるなど活性化につながることでしょう。
Jリーグでは採用初年度は2026年の秋から2027年の夏までが1シーズンとなります。ここで2025シーズンから次のシーズン開始までに半年以上試合のないブランクが生まれます。
その半年を埋めるのがスプリングリーグ、いわゆる0.5シーズンです。J1とJ2J3は形式は異なりますが短期間で昇格降格のない試合が行われます。ただ試合をするだけでなくちゃんと優勝なども設定されるようなので熱くなれる要素はあります。詳細は決まりつつありますがたびたび変更されているので続報に期待です。
J3→JFL降格
JリーグはJ1からJ3までの全60クラブで構成されています。JFLはJ3のひとつ下のカテゴリで、J4などと呼ばれることがありますがJリーグではありません。Jリーグがプロサッカークラブであるのに対し、JFL以下のクラブはいわばアマチュアです。
今年J3からJFLに2つのクラブが降格することが決まりました。J3で最下位のいわてグルージャ盛岡とシーズン19位でJ3・JFL入れ替え戦で高知に敗れたYSCC横浜です。
JFLへの降格クラブが出るのは実はこれが初めてではなく、まだJ3ができる前の2012年に町田ゼルビアがJ2からJFLに降格しています。
今回JリーグからJFLへの降格クラブが出るのは実に12年ぶりで、J3から降格というのは初です。ちなみに2023年も同様の制度はあったのですが、JFLの上位2クラブがJリーグへの参加ライセンスを持っていなかったため、降格は発生しませんでした。
2025シーズンはJクラブとのトレーニングマッチでもお馴染みだった栃木シティとリーグ終盤のスタジアムへの集客で話題になった高知県初のJクラブとなった高知ユナイテッドSCがJリーグに参入します。
Jリーグの境界線の争いにも目が離せません。
ACLエリート
アジアの王者クラブを決める夢の大会ACL(アジアチャンピオンズリーグ)。これまでACLはACLという一つの大会でしたが、2024-25シーズンからは大きく運用方式が変わりました。
トップカテゴリのACLE、それに次ぐカテゴリのACL2、そしてACGLの3つのカテゴリで争われることとなりました。
ACLE(AFCチャンピオンズリーグエリート)はACLエリートとも呼ばれ、文字通りアジアの最強クラブを決定するためのリーグです。全24クラブが東と西で12クラブずつで争い、最後に東の王者と西の王者が決戦を行い、アジア最強を決めるというものです。ちなみに、日本は東に所属し、3クラブが参加しています。
ACL2(AFCチャンピオンズリーグ2)はアジアの強豪クラブの中で優勝を争うリーグとなります。東と西で16クラブずつの計32クラブで優勝を争います。日本からは1クラブが参加しています。
ACGL(AFCチャレンジリーグ)はアジアのクラブの成長を目的としたリーグです。このカテゴリに日本のクラブは参加していません。
2024年末時点ではリーグの途中ですが、ACLEの上位4クラブのうち日本のクラブが3クラブはいるなど大健闘を見せています(横浜FM、川崎、神戸)。また、ACL2でも広島がグループ首位など経過は順調です。2025年も日本のクラブの活躍に期待したいですね。
DAZN値上げ
DAZNの値上げは止まらず、2025シーズンも値上げと4年連続の値上げとサポーターを震撼させることとなりました。
Jリーグを視聴できるDAZN Standardの年間視聴パスベースだと4年前は年19250円で視聴ができていましたが、2025シーズンは年30000円の価格が設定されることとなりました。2024年は27000円であったため、3000円の値上がりとなります。
プロ野球であれば、DAZN Baseball(プロ野球専用プラン)が割安で契約することが可能ですが、Jリーグは専用プランがないため、シーズンを通して視聴するのであればDAZN Standardを契約するしかありません。
それでも遠方からアウェイに現地観戦しに行く費用と比べると安いというのもあります。ただし、数年の急激な値上げについていけないサポーターも出てきているという話も聞きます。また、値上げに反して同一番組を同時視聴ができないなど配信サービスの低下もあり、大学生がDAZNを訴えたということも2024年にはありました。
そんな値上がりしたDAZNですが、安くJリーグを視聴する方法としては、年間視聴パスを購入することでしょう。年30000円と値上がりしてしましましたが、Jリーグを楽しむにはやはり唯一リーグ全試合を配信しているDAZNは欠かせません。
ちなみにJ3が配信サービスから対象外となる話題がありましたが、2025シーズンはJ3も全試合配信されることは公表されています。
新スタジアム開業
2024年は新スタジアム開業が多い年でもありました。中でも特に目を引くスタジアムはサンフレッチェ広島のホームスタジアムであるエディオンピースウイングスタジアムとV・ファーレン長崎のピーススタジアムconnected by Softbankでしょう。
両クラブの新ホームスタジアムには意外と共通点があります。
まずは、旧スタジアムと比べた時のアクセスが大幅に改善されたことです。特に都心部の主要駅である広島駅、長崎駅から徒歩でアクセスできるようになったというのは、ホームサポーターだけでなく、アウェイサポーターにとっても観戦と観光を両立しやすくなったというのが嬉しい点として挙げられます。
次にピッチと観客席の距離が抜群に近いことにあります。どちらも球技専用スタジアムとしてサッカー観戦が最大限に楽しむことができる工夫が施されています。試合開催時には圧倒的な臨場感の中で選手と共に熱くなれること間違いなしです!
そして忘れてはならないのがどちらも平和を意味する言葉「ピース」をスタジアム名に入れていることです。なぜピースなのかは言わずもがなですが、ある意味最大の共通点だと言っても過言ではありません。スタジアムの略称はどちらも「ピースタ」と語感よく呼びたくなりますが(私だけでしょうか)、広島は「Eピース」、長崎は「ピースタ」がJリーグの略称として採用されています。ややこしいですがこの際覚えておきましょう。
Jリーグサポーターであれば2024年にオープンしたこの2つのスタジアムでの現地観戦は外せないのではないでしょうか。
J2昇格プレーオフ
これまでJ2とJ3のクラブの入れ替えは、J2で下位の成績だった2クラブとJ3で上位の成績だった2クラブの自動入れ替えのほかに、J2で下から数えて成績が3番目のクラブとJ3で3位のクラブによるJ2・J3入れ替え戦が行われてきました。
2024シーズンは、J2・J3入れ替え戦に代わり、初めてJ2昇格プレーオフが採用されました。仕組みとしてはJ1昇格プレーオフと同様の形式で、J2昇格プレーオフではリーグ戦終了時点の成績がJ3で3位から6位のクラブがJ2昇格の残りの1枠を争うものとなっています。
一回戦では、シーズン3位と6位のクラブ、そして4位と5位のクラブが戦い、それぞれの戦いで勝利したクラブが決勝戦を行うこととなります。試合はシーズン順位が上位のクラブのホームスタジアムで開催され、決勝戦で勝利したクラブがJ2で18位だったクラブと入れ替わる形でそのままJ2に昇格します。
2024年度は大宮と今治がJ2自動昇格を決めていましたが、J2昇格プレーオフ初年度の残りの1枠はシーズン順位が上位の富山が松本相手に決勝戦で見せた後半アディショナルタイムの同点弾で2点差を追いつき、歓喜のJ2復帰を決めました。
参入プレーオフは同カテゴリでプレーオフを勝ち抜いても、最後に上位カテゴリのクラブに敗れるか同点となることで最後の最後に昇格の夢を打ち砕かれるというクラブが多く出てきていました。昇格プレーオフでは勝ち抜いたらそのまま上位カテゴリに昇格できるため、下位のカテゴリクラブにとってはこちらの方式のほうが楽しみがあっていいことしかありません。反対に、上位カテゴリにとっては確定で3枠が自動降格(ライセンスなど一部例外を除いて)となるため、最後に入れ替え戦で降格を免れるストッパーがなくなるため気が気がないかもしれませんが。
ルヴァンカップ拡張
ルヴァンカップはJ1クラブと前年までJ1に在籍していたクラブのみが参加できる大会として運用されてきましたが、2024年からJ1からJ3までの全60クラブが参加対象となりました。
大会の中身も大きく変わりました。1回戦から3回戦は一発勝負の勝ち抜き方式。3回戦を勝ち抜くとプレーオフラウンドに進みます。
プレーオフラウンドではホーム&アウェイ方式で試合が行われ、総得点で上回ったクラブがプライムラウンドに進みます。得点が同点の場合は90分の試合後に、2試合目の試合会場でPK戦で決着がつけられます。
プライムラウンドからはプレーオフラウンドを勝ち抜いたクラブにACLノックアウトステージに進んだクラブが加わり、8クラブが準々決勝、準決勝、決勝を戦います。ACLの大会方式が変わったことにより、2025年のルヴァンカップ参加方針が変わる可能性はあります。
準々決勝、準決勝はプレーオフラウンドと同じくホーム&アウェイでの勝ち抜き方式となっています。
決勝は国立競技場で一試合のみで決着がつけられます。90分で同点の場合は延長戦、それでも決着がつかなければPK戦となります。
これまで参加できなかったクラブも参加できるようになったルヴァンカップ。天皇杯だけでなくルヴァンカップでもカテゴリの垣根を越えた試合が見られるようになったのは大きな変化といえます。
全リーグ20クラブ制始動
Jリーグは2023年にJFLからJ3に昇格したFC大阪と奈良クラブが加わり60クラブとなりました。
2023年の各カテゴリごとのクラブ数はJ1が18、J2が22、J3が20でした。2023年までJ1クラブはルヴァンカップへの参加や日本代表戦による中断期間などによる過密日程を考慮してのものでしたが、J2も同様に過密日程となっており問題視されていました。
2024年はすべてのカテゴリで20クラブとなりました。オリンピックの中断期間はありますが、ルヴァンカップもJ1からJ3のクラブまでが参加となり、リーグの運用方針が固まった年と言えそうです。残るのは秋春制といったところでしょうか。